日常生活でできる、夏の健康対策 ~暑さから身を守るには~

今月は、「日常生活でできる、夏の健康対策」と題し、熱中症だけでなく、冷房病、紫外線、熱帯夜まで含めた対処方法と、暑さから身を守るための基本的なポイントをご紹介します。日常生活にこれらの対策を取り入れ、厳しい夏を無理なく乗り切りましょう!

熱中症予防は、正しい知識から

近年、日常生活の中で増加しているのが熱中症です。重症化すると生命も脅かす恐ろしい病気ですが、正しい知識を持って適切な処置をすることで、予防することができます。

そもそも熱中症とは?

人間の身体には、体温調節機能が 備わっています。常に体内で熱を作り出している一方、自律神経を介して血液や発汗を調節し、適度な体 温を保っています。しかし、気温や湿度が高い、風が弱い、日差しが強いなどの環境下で体温調節機能に乱れが生じ、体内の水分やナトリウムのバランスが崩れ、さまざまな障害が起きることがあります。これを熱中症といいます。

体が感じる危険信号には、めまい、吐き気、ズキンズキンとする頭痛、皮膚が赤く・熱く・乾いている状態、汗をかかない、極端に高い体温、意識の混濁や消失などがあります。こうした症状は、身体の水分と塩分が失われ、末梢の血液循環が悪くなり、極度の脱水症状に向かうことで現れてきます。進行すると多機能不全を起こし、死に至ることもあります。

熱中症の予防法

1. 暑さを避ける
2. こまめに電解質の入ったスポーツドリンクなどを補給する
3. 体調や体質、生活習慣に気を配る
4. スポーツを行う場合には、責任者が全員の健康状態、欠食の有無を確認し、
定期的に水分補給を行う

また、工事現場や運動場、体育館、家庭の風呂場、密閉度の高いビルの最上階などは、熱中症を起こしやすい場所といえますので、特に注意しましょう。

 

マスクの着用と熱中症

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、「新しい生活様式」としてマスクの着用が推奨されています。ただし、マスクを着けていない状態と比べて、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかることがあります。気温や湿度が高い環境では熱中症のリスクが高くなります。屋外で人と十分な距離が確保できる場合にはマスクをはずし、マスクを着けている時は運動などを避け、水分の補給をこまめにしましょう。

冷房病には、血行の促進を

人間が急激な温度変化に対応できるのは5℃以内といわれています。猛暑の中、冷房の効いた室内と外を頻繁に出入りしたり、冷房を長時間身体に当てていたりすると、身体が冷えてしまい、毛細血管の収縮と全身の血行不良が起こります。これが体温調節機能に乱れを生じさせ、様々な症状を引き起こすのです。

冷房病の症状は、身体の冷え、だるさ、しびれ、むくみ、頭痛、肩こり、神経痛、下痢、便秘、腹痛、食欲不振などです。

冷房病の予防法

特に女性は肌を露出することが多く、身体を冷やしやすい傾向があるため、注意が必要です。

  1. 外気との温度差を5℃以内にする
    室温設定は27~28℃が理想です。
  2. 冷気を直接肌に当てない
    オフィスなどの冷房の効いた場所では、ひざ掛けやカーディガン、大き目のスカーフを一枚用意するといいでしょう。
  3. 毎日の入浴習慣をつける
    夏はついついシャワーだけで済ませてしまいがちですが、お湯につかることで身体を温め、冷えて滞った血行を回復させましょう。特に、全身の血行をよくする半身浴や足湯が効果的です。
  4. 温かいものを食べる
    暑いときこそ、栄養のある温かいものを食べましょう。冷えた体を内側から温め、夏バテ予防にもつながります。

情報を活用して、かしこく紫外線対策

紫外線は、浴びることで骨を形成するビタミンDを生成したり、布団や洗濯物の殺菌効果、カビの予防効果がある反面、皮膚がんや白内障、シミやシワ、皮膚の老化など、人体にさまざまな悪影響を及ぼすことが指摘されています。

外出時の紫外線対策5ヵ条

  1. しっかりした生地の服を着る
    服は、織り目、編み目がしっかりしている生地を選んでください。木綿やポリエステル、またはそれらの混紡が適しています。七分袖や襟付きのシャツなど、体を覆う部分が多いほど良く、淡い色より濃い目の色のほうが、より紫外線をシャットアウトする効果があります。
  2. 帽子をかぶる
    麦わら帽子のような、幅の広いつばのある帽子ほど効果があります。
  3. 日傘を使う
    日差しが強いとき、日陰のない場所では積極的に利用してください。白より黒っぽい色のほうが、より紫外線を防いでくれます。
  4. 日焼け止めクリームを使う
    SPF(紫外線防御指数)やPA(UVA防御指数)をしっかり確かめて、日常用やアウトドア用など、戸外活動時間に合わせて使い分けましょう。
  5. 日陰を利用する
    できるだけ直射日光を浴びないように。うつむいて歩くだけでも、顔への紫外線の影響は違ってきます。

紫外線は今後、強くなっていくことが懸念されています。オゾンホールのあるオーストラリアでは、子供にも日焼け止めクリームやサングラス、帽子の着用を徹底しています。子供には外で遊ばせることも大切ですが、直射日光をしっかり避けることも重要です。ぜひ、夏には子供にも日焼け止めクリームを塗ってあげる習慣をつけてください。

寝苦しい夜を快適に~熱帯夜の対策~

人間は汗をかき、熱を発散して体温調節をしています。室温が28℃以上あるような「熱帯夜」では体温が逃げにくくなり、さらに湿度が高いと汗も蒸発しないため、体温が下がりにくくなります。寝苦しい夜には、このような背景があります。

熱帯夜の快眠法

  1. 室温は26~27℃に保つ
  2. エアコンのタイマーは1時間程度にセットする
    寝る1~2時間前に冷房をかけておけば、タイマーが切れても快適さが続きます。
  3. 除湿機能を使う
    睡眠に理想的な湿度は60%前後といわれています。適度な湿度が保たれていれば、気温が同じ30℃でも、寝苦しさはまったく違ってきます。
  4. 寝具を選ぶ
    麻は、熱がこもりにくい素材として知られています。

このほかにも、食事は就寝の2時間前までに終わらせる、また、ぬるめのお風呂に入る、軽いストレッチをする、部屋を暗くする、ハーブティーを飲むなど、気分をリラックスさせる習慣をつけることが大切です。

夏に体調を崩さないための基本的なポイント

最後に、ごく常識的な内容ですが、「夏に体調を崩さないための5ヵ条」をご紹介します。

  1. 規則的な生活をする
  2. 冷たいものの飲食はほどほどに
  3. 適度な運動をする
  4. ストレスをためない
  5. しっかり睡眠時間をとる

今回ご紹介してきた対策は、負担にならない範囲で行ってください。皆さんの日常生活のスケジュールやコンディションに合わせて継続すれば、厳しい夏も無理なく乗り越えることができるでしょう。

 

 

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