熱中症は真夏だけではない!梅雨時期も要注意

蒸し暑くなったり、雨のせいで急に冷えたりと、梅雨時は気候も安定せず、体調を崩しやすいもの。「時期的に仕方がない」と諦めてはいませんか?実は、ちょっとした工夫で、梅雨も健やかに過ごせるのです。今回は、梅雨時に気をつけたい健康管理のポイントについてご紹介します。

梅雨の晴れ間や急に気温が上がったタイミングは要注意!

「熱中症は真夏の気温が高い日にかかるもの」と思い込んでいないでしょうか。確かに熱中症発生のピークは7~8月ですが、実は、発生数が増え始めるのは5~6月なのです。梅雨の晴れ間、梅雨明け直後など、身体がまだ高温多湿に順応できていないタイミングで急に気温が上がったり、蒸し暑くなったりすると、熱中症発生のリスクが高まります。

気温が高くなくても湿度が高いとリスクあり

湿度が高い空間では、体温調整のために汗をかいても、その汗が蒸発しにくくなります。体の余分な熱が逃がせず、こもりやすくなってしまうので、気温はそれほど高くなくても熱中症のリスクが高まるのです。

汗をかきやすい体づくりと、こまめな水分補給、湿度の高い日は換気を

梅雨時の熱中症を防ぐには、自然に汗をかく機会を増やし、汗による体温調整をしやすくすることがポイントになります。シャワーではなく湯船でじっくり入浴するなどの対策がおすすめです。
また、「のどが渇いた」と感じるときには、すでに体内の水分が不足しつつあります。運動中や入浴中はもちろん、室内で静かに過ごしているときも、のどが渇く前に意識して水分補給しましょう。水分は一度にたくさん飲んで間を空けるより、少しずつこまめに摂るのがポイントです。
また、湿度が高く、蒸し暑いと感じる日は、汗による体温調整が難しくなります。換気や除湿、エアコンをつける、扇風機に当たるなどして、汗を上手に蒸発させるようにしましょう。

食中毒予防の基本も今一度チェック!

梅雨~夏は食中毒のハイシーズン!

高温多湿の梅雨~夏の時期は、食中毒の原因となる細菌が増えやすいシーズンです。O-157などの「腸管出血性大腸菌」や「カンピロバクター」、「サルモネラ」など、主に食肉に付着しやすい細菌での食中毒がよく見られます。ちなみに、サルモネラは卵にも付着します。
細菌による食中毒対策としては、「付けない・増やさない・やっつける」の3原則がよく知られています。ひとつずつ見ていきましょう。

食材だけでなく手洗い・調理器具洗いも徹底して、細菌を「付けない」

調理の際は食材を洗うだけでなく、手や調理器具もこまめに洗いましょう。特に調理前の手は、石けんで指と爪の間や指の付け根、手の甲などもしっかり洗います。 また肉・魚を扱った包丁やまな板でそのまま他の食材を調理するのは避けましょう。すぐに洗って熱湯をかけるなどで消毒します。
肉を焼きながら食べる際は、生肉と他の食材が皿の上などで触れないように注意し、生肉用の箸やトングと、他の食材用のものを分けるようにします。

速やかに低温の場所へ収納・保存して、細菌を「増やさない」

食材や料理を、高温多湿の細菌が増えやすい環境に長く置かないことも重要です。肉・魚を購入したらそれぞれ分けてポリ袋などに包み、できるだけ早めに持ち帰りましょう。時間がかかる場合は保冷剤・氷などで冷やしながら持ち帰るのがおすすめです。持ち帰り後は包んだまますぐに冷蔵庫へ。
作り置きや残った料理などを保管する場合は作業前に手を洗ってから清潔な容器に移し、こちらも冷蔵庫へ入れます。温度が下がりやすくなるよう、できるだけ小分けにするのがポイントです。冷蔵庫の詰め過ぎも、庫内の温度が上がりやすいので避けるようにしましょう。

食材は加熱調理、調理器具は熱湯・消毒で、細菌を「やっつける」

多くの細菌は加熱で死滅させられます。加熱調理する際は中心までしっかりと火を通しましょう。目安は「中心部分が75℃以上の状態で1分以上」(二枚貝などノロウイルス汚染の恐れがある食材の場合は85℃以上)とされています。 加熱調理で細菌を死滅させても、その後使う調理器具に細菌がついていては台無しです。肉・魚などの食材を扱った調理器具は、こちらも熱湯や消毒液をかけるなどして細菌をやっつけておきましょう。

梅雨の冷え・不調にはまず気象病対策を

梅雨の気圧変化や湿度変化、寒暖差などは体調に影響しやすい

梅雨は気圧が下がって湿度が上昇し、雨による冷えや蒸し暑さなどで寒暖差も大きくなるため、頭痛やだるさ、むくみや食欲不振、関節痛といった体調不良が現れやすくなります。これは体内の自律神経のバランスが崩れることによるもので、正式な診断名ではありませんが、俗に「気象病」と呼ばれるものの一種です。
自律神経は、活動をつかさどる交感神経と、休息をつかさどる副交感神経からできています。日中は交感神経が優勢に、夜間は副交感神経が優勢になっていると、1日の生活リズムに合っていてバランスが良いとされます。

汗を上手にかくことは気象病にも有効

自律神経のバランスをとりやすくする方法として、熱中症対策でも挙げた汗をかきやすい体づくりが挙げられます。入浴や軽い運動などで血流が改善されるので、冷えやむくみなどへの効果も期待できます。ただし、片頭痛の症状がある場合は血流が盛んになると悪化する場合があります。長時間の入浴などは注意が必要です。

脱ぎ着しやすい上着を1枚用意して、体温調節を

体を冷やさないことも重要な対策のひとつです。といっても、常に厚着をして余分な汗をかいてしまっては熱中症も心配されます。薄手のカーディガンやジャケット、ストールなど、脱ぎ着のしやすい上着、いわゆる羽織物を1枚用意して、自宅はもちろん、外出先などでもすぐに体温調節ができるようにしておきましょう。

体を温める食事や栄養素を意識して摂る

湿度が高くなると、爽快感を求めて冷たい飲み物を摂ったり、食欲不振からサッパリした冷たい食べ物を好んだりしがちですが、体が冷えるという意味ではあまりおすすめできません。食事の最初にみそ汁やスープ、ホットのお茶などの温かい飲み物を摂ると食欲増進にもつながります。また、身体を温める栄養素が豊富な根菜類、ネギ、ショウガなどを取り入れたメニューもおすすめです。

ぐっすり眠って自律神経を整える

質の良い睡眠をしっかりとって休息することは、副交感神経と交感神経のスイッチングをスムーズにし、日中は活動しやすく夜間は休息をとりやすい、いわゆるバランスの良い状態につながります。
ぐっすり眠るために、就寝前はパソコンやスマートフォンの光を見るのは控え、部屋を少しずつ暗くして就寝に備えましょう。また、起床時にカーテンを開けて太陽の光を浴びるようにする、熱いシャワーを短時間だけ浴びるなどして交感神経とのスイッチングを促すことも、生活リズムが整い、質の良い睡眠につながります。

「季節の変わり目」というと春先や秋口を連想しがちですが、梅雨も春から夏へと移り変わる変わり目のシーズン。体調を崩しやすい時期であることを意識して、不調が出る前から快適に過ごせるよう備えておきましょう。

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