日差しに力強さを感じる季節が到来
二十四節気とは、太陽の動きに合わせて一年を24の節気に分けた暦のこと。「立夏」は7番目の節気で、やわらかな春の日差しに力強さを感じる頃です。2022年の立夏は5月5日、ちょうど「こどもの日」から始まります。 「春分」と「夏至」のちょうど真ん中にあたる立夏は、夏の始まりを告げる日。「夏が立つ」の文字通り、暦の上ではこの日から立秋の前日までが夏です。夏(なつ)の語源は諸説ありますが、「暑(あつ)」が転じたものともいわれています。 実際にはこの後に梅雨入りするので本格的な夏は先ですが、一年で最もさわやかで過ごしやすい頃です。気温は高くないものの、日差しに力強さを感じます。青空と新緑がまぶしく、気持ちの良いシーズンです。
夏を迎え冬眠から目覚めたカエルやミミズが動き出す
二十四節気の1つの節気(約15日)をさらに3つ(約5日)に分けた時期を、七十二候といいます。古くから伝わる日本特有のリズムを感じ取ることができる区分で、立夏にあたる七十二候は次の通りです。 ○「立夏」(5月5日頃から) 初候:蛙始鳴(かわずはじめてなく)5月5日頃 次候:蚯蚓出(みみずいずる)5月10日頃 末候:竹笋生(たけのこしょうず)5月15日頃 冬眠から目覚めたカエルも本格的に活動を開始します。カエルは必ず元の場所に“帰る”習性からこの名前になりました。お金がカエル、無事にカエルなど、縁起物としても扱われます。またミミズも冬眠から目覚める頃。ミミズは土の中の微生物を食べて、排出したフンで植物が育ちやすい土質に変えるとされ、古くから「ミミズがいるとよく肥えた土ができる」といわれてきました。 日本原産の「真竹」はちょうど旬を迎えます。一斉に似たようなことが続いたり物事が現れたりすることを指す「雨後の筍」という表現は、この時期に雨が降ると次々とタケノコが生えてくることから転じたとされています。
小満は「ほっと一安心」する時期という意味も
立夏の後に訪れる8番目の二十四節気が「小満」です。日を追うごとに気温も上がって、万物が天地に満ち始める頃とされています。この季節に麦の穂が実るので、ほっと一安心する、小さな満足を得ることから「小満」となったともいわれているそうです。 暖かくなり麦畑が黄金に色づきます。「麦秋」という言葉は、この時期の季語です。初夏ですが、麦にとっては「実る秋」という意味があります。
梅雨前の活気に満ちあふれる時期
あらゆるものが活気に満ちあふれ、健やかに育つ小満には、麦の収穫や田植え、蚕の世話などを行います。小満にあたる七十二候は次の通りです。 ○「小満」(5月21日頃から) 初候:蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)5月21日頃 次候:紅花栄(べにばなさかう)5月26日頃 末候:麦秋至(むぎのときいたる)5月31日頃 この時期は蚕が元気に桑の葉を食べて成長していきます。美しい絹糸を紡ぐ蚕は「おかいこさま」とも呼ばれてきました。また、紅花(ベニバナ)とは古くから染料や生薬として用いられてきた花。ベニバナが一面に咲くと、化粧の紅を取るための花摘みが行われてきました。 麦の収穫期なので、麦にまつわる季語がいくつかあります。この頃に強く吹く風を「麦風」や「麦嵐」、降る雨を「麦雨」とも言います。麦は古くから日本人の生活に重要な役割を担ってきました。快適な気候が続いた小満の終わり頃に天気が崩れることを「走り梅雨」や「梅雨の走り」などと呼びます。いったんは晴天に戻りますが、その後、本格的な梅雨を迎えます。