立春(2月4日ごろ)から数えて88日目(5月初めごろ)を八十八夜やといい、新茶の摘つみごろです。冬の寒さの中で養分を蓄たくわえたお茶の新芽は栄養分もうま味も多く、「新茶を飲むと長生きできる」と言われています。
お茶は、急須きゅうすにお茶の葉を入れてお湯を注いで少しおき、よい香りと色が出たら湯のみ茶碗ぢゃわんに注ぎます。こうして飲むと、さわやかなお茶の香りを一層楽しむことができます。
日本でよく飲まれているのは煎茶せんちゃ(緑茶)ですが、世界にはたくさんの種類のお茶があり、代表的なのはイギリスなどで広まった紅茶とウーロン茶などの中国茶です。紅茶は、世界で一番多く作られ、飲まれています。紅茶もウーロン茶も煎茶せんちゃとは色も味も違ちがいますが、実はこの3つのお茶はどれも「チャ」というツバキ科の木の葉から作られるのです。
煎茶せんちゃは茶葉を蒸むしてもみ、乾燥かんそうさせますが、紅茶とウーロン茶は茶葉を最初に「発酵はっこうさせる」点が大きな違ちがいです。紅茶は完全発酵はっこう、ウーロン茶は半発酵はっこうにするのが特徴とくちょうで、それが味や色の違ちがいになっています。どのお茶も、カテキンなどの体によい成分が含ふくまれており、健康によいことが知られています。
日本のほうじ茶もウーロン茶と似た茶色ですが、これは煎茶せんちゃなどを強火で炒いったもので、香ばしい香りがします。また、夏によく飲む麦茶は、茶葉ではなく炒いった大麦やはだか麦などを煮に出したものです。ほかにもそば茶、黒豆茶など、チャの木以外の植物などから作られるお茶もあります。このように日本にも外国にもさまざまなお茶があり、飲み方もいろいろです。
お茶の種類は違ちがっても、世界中どこでも、人を歓迎かんげいする時や集つどう時にお茶は欠かせないものです。お茶は気持ちをリラックスさせ、会話をなごやかにしてくれます。イギリスでは、アフタヌーンティーと呼ばれる、午後に紅茶と軽食やお菓子かしを楽しむ習慣があります。日本に古くから伝わる茶道さどうにも、人との出会いを大切にする精神が流れています。
このごろは、海外で日本のお茶がグリーンティーとして注目を集めています。抹茶まっちゃを使ったドリンクやお菓子かしも欧米おうべいなどで大人気です。抹茶まっちゃは、色鮮あざやかでうま味と香りが高く、ビタミンやミネラル、カテキンなどの栄養もあります。また、粉末なので手軽に使えます。
抹茶まっちゃは、牛乳や豆乳に溶といて抹茶まっちゃラテ風にしたり、クッキーやケーキ、アイスクリームや白玉団子などに混ぜたりと使い道はいろいろです。お湯で溶といてごはんにかけ、お茶漬づけにしてもよい香りと色が楽しめます。
抹茶まっちゃ
抹茶まっちゃは、日に当てずに育てたチャの新芽を蒸むして乾燥かんそうさせ、石うすで粉にひいたもの。茶道さどうでは茶ちゃせんという道具で溶といて飲む作法があります。